機能訓練とリハビリの違いとは?通所介護と通所リハから違いを考える


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機能訓練とリハビリは同じ意味だと思っている方はいませんか?介護現場において間違った理解のままにしておくと行政の実地指導や監査でご指摘を受けることになりますし、現場のスタッフも勘違いしてしまいます。機能訓練とリハビリの提供内容はほぼ同じですが、定義は異なります。そこで今回は、機能訓練とリハビリの違いを通所介護と通所リハの視点から解説します。

機能訓練とリハビリの定義の違いとは

まず、機能訓練とリハビリの違いをそれぞれの定義から見ていきましょう!


【機能訓練の定義】
機能訓練とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、 看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師などが「減退防止」を目的に提供する訓練のこと。


【リハビリテーションの定義】
リハビリテーションとは、医師の指示に基づき理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの専門職種が「身体機能の維持・回復」を目的に提供する訓練のこと。


機能訓練とリハビリの定義による大きな違いは、「医師の指示」に基づいて訓練を行なう必要があるかという点です。また、リハビリテーションは定められた専門職種が訓練を行うのに対して、機能訓練は特にスタッフの決まりはなく、介護職員であっても機能訓練を行うことができる点も違いの1つとなります。

機能訓練とリハビリの基本方針の違いとは

ここからは機能訓練とリハビリの違いについて「通所介護」と「通所リハビリ」の基本方針から考えていきましょう!



【通所介護の基本方針】

要介護状態になった場合においても、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう生活機能の維持又は向上を目指し、必要な日常生活の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者の社会的孤立感の解消及び心身の機能の維持並びに利用者家族の身体的及び精神的負担の軽減を図るものでなければならない。

(同上基準第92条より)


【通所リハビリテーションの基本方針】

要介護状態になった場合においても、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができるよう生活機能の維持又は向上を目指し、理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションを行うことにより、利用者の心身の機能の維持・回復を図るものでなければならない。

(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準第110条より)





基本方針による機能訓練とリハビリの違いを考えてみると、機能訓練の提供は「通所リハビリ>通所介護」となり、コミュニティ(社会的孤独感の解消)の提供は「通所リハビリ<通所介護」といったように若干の違いがあるのではないでしょうか。

【関連記事】通所リハビリテーションにおける指定基準|人員、設備、運営について

機能訓練とリハビリの対象の違いとは

続いて、機能訓練とリハビリの違いについて対象者の違いから考えてみましょう!


【通所介護の対象】

居宅要介護者
(介護保険法第8条第7項より)


【通所リハビリの対象】

居宅要介護者
○主治の医師がその治療の必要の程度につき、厚生労働省令で定める基準に適合していると認めたものに限る。
(介護保険法第8条第8項より)
○病状が安定期にあり、施設において、心身の機能の維持回復及び日常生活上の自立を図るために、診療に基づき実施される計画的な医学的管理の下における理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションを要することとする。
(厚生労働省令 施行規則第11条より)





対象による機能訓練とリハビリの違いを考えてみると、やはり通所リハビリでは「医師の指示」に基づいて訓練を行なう必要があることになります。この点は大きな違いなのではないでしょうか。

介護給付費分科会-介護報酬改定検証・研究委員会「リハビリテーションと機能訓練の機能分化とその在り方に関する調査研究」
平成29年10月3日アクセス

機能訓練とリハビリの実施者の違いとは

続いて、通所介護と通所リハビリの違いをリハビリテーション及び機能訓練の実施者の違いから考えてみましょう!


【通所介護の実施者】

機能訓練指導員が実施します。
・機能訓練指導員とは日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者で理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、准看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師の資格を有する者であれば機能訓練指導員として「機能訓練」を実施することが可能です。

(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準第93条第6項より)




【通所リハビリの実施者】

理学療法士、作業療法士、言語聴覚療法士が実施します。

・理学療法とは身体に障害のある者に対して、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行わせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう。
(理学療法士・作業療法士法第2条より)

・作業療法とは身体又は精神に障害のある者に対し、主としてその応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため、手芸、工作その他の作業を行わせることをいう。
(理学療法士・作業療法士法第2条より)

・言語聴覚療法とは音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者についてその機能の維持向上を図るため、言語訓練その他の訓練、これに必要な検査及び助言、指導その他の援助を行う。
(言語聴覚士法より)





このように通所リハビリではリハビリテーションの専門職種である理学療法士、作業療法士、言語聴覚士がリハビリを提供します。一方、通所介護では看護師や准看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師など実施者の範囲が広くなっていることがわかります。

【関連記事】機能訓練指導員とは
機能訓練指導員の仕事内容や魅力をご紹介します♬

まとめ

機能訓練とリハビリの定義の違いはお分かりいただけましたか?


機能訓練とリハビリの違いをまとめると、どちらも患者様やご高齢者の一人ひとりの能力に合わせてて運動や体操、生活機能訓練を提供しますが、

機能訓練は、主にデイサービスなどの介護保険サービスの中で活用される用語で、医師の指示に基づくという前提条件はありません。定められた職種の人たちが中心となることで介護職員も機能訓練を実施することができます。

一方で、リハビリは、主に医療保険サービスなど病院で活用される用語で、医師の指示を基盤として理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が訓練を提供します。


近年では、介護業界の中でも「生活リハビリ」という考え方が流行しており、機能訓練とリハビリの定義が曖昧になっているように思えます。

行政指導として行われる実地指導で直接的にこの言葉の違いを問われることはありませんが、介護保険サービスを運営する上では、正しい知識をつけておきましょう!

【関連記事】生活リハビリとは|介護現場に役立つ生活リハの考え方と具体例

【最後に筆者より】
セルフボックスでは、介護現場で知っておきたい基本的な介助方法や運動方法についてご紹介しています。基礎知識をまとめた「デイサービスメゾット」も無料で配信していますので、興味がある方はご気軽に資料をご請求ください♬

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この記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。この記事の情報を用いて行う行動は、利用者ご自身の責任において行って頂きますようお願い致します。
 
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